日本でも利用が始まっている「婚前契約書」とは
2014年2月に女優の遠野なぎこさんがテレビ番組内で自分の結婚生活において作成していた「婚前契約書」について言及をしました。
以前より「婚前契約書」というものが海外では使用されることもあることは多くの人が知っているところでしたが、日本でも同様の契約が行われていたことがわかり一時かなり話題になったのは記憶に新しいところです。
婚前契約書とは、結婚をする前に夫婦で交わすその後の生活に関しての契約を記したもので、その条項に違反をすることは結婚生活の終了と賠償金の発生などにつながるものとなっています。
日本人の伝統的な結婚観では、結婚は個人同士というよりも家や世間に対して行うものという意識が強かったこともあり、夫婦間の問題をビジネスライクな契約という形で結んでしまうことに抵抗感を覚える人もいるようです。
ですが時代が変わり結婚観も個人同士の同意によるものという認識が強くなってきたことにより、婚前契約書という契約方法そのものについてはそれもありというふうに思える若い世代の人が多くなってきました。
ただ問題はその婚前契約書で交わされる内容についてです。
遠野なぎこさんが大きく話題になった理由には、その契約書の存在よりもむしろ内容がとても突飛なものであったこともあります。
婚前契約書で定められる内容とは
遠野なぎこさんの交わしたとされる婚前契約書の内容には、とても常識的には信じられないようなことも含まれていました。
例えば「トイレに行く度にメールをする」といったことや「結婚後も別居する」「一緒に過ごしている間は乙(遠野さん)が望む限り甲(夫)はキスとハグをする」というようなものです。
紹介されたのがテレビ番組ということもあってヤラセではないかとも言われましたが、完全に真実ではないにしてもかなり近い内容であったことはうかがえます。
そうした稚拙な内容のため婚前契約書というものそのものが幼稚なもののように思われるきらいもありましたが、実際にはよりシビアな内容で取り決めをすることが多いのが実際です。
日本よりも先駆けて婚前契約書が使用されてきたのは米国のセレブ社会ですが、そこでは結婚生活が○年続いたら妻は財産を受け取るというような内容や、不倫や不貞があったときの財産分与の方法などが細かく定められていたりします。
有名なところではタイガー・ウッズとエリン夫人とのものや、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーとの婚前契約書(プレナップ)があります。
契約は本人同士の了解があればよいとはいいますが
法律的に言えば、遠野なぎこさんが交わしていたような内容のものも、海外のセレブたちが個人的に交わすものにしてもその契約をすること自体には特に問題はありません。
日本の国内法では個人間の契約は民事不介入の原則により、内容に不平等があっても刑事的には裁かれないものとなっています。
ただし内容に「夫の不倫は認めることにする」というふうにしたり、「離婚しても慰謝料は全く支払わない」というような明らかに公序良俗に反するような内容の場合には訴えにより無効を訴えることは可能です。