新しい結婚生活の形「遠距離結婚」
1999年に内館牧子脚本による「週末婚」というドラマ放映されたのを覚えている方もいるでしょう。
90年代後半からの当時は女性の社会進出がめざましい時期であり、結婚をしながら自分のキャリアを伸ばすという女性の生き方が多様に模索された時期でもありました。
それまでは「結婚をする=家庭に入る」ということが常識として社会に認知されてきたため、大学を出て新卒として就職をしても結婚をしたらそこで仕事を辞めて家族のための生活を選ばなくてはいけないという人生のモデルが女性にはありました。
ですが高学歴の女性が増え、結婚をしても仕事を続けることを希望したり、子供ができるまでは結婚をしていても独身と変わらないような自分のペースでの仕事を望むことも多くなりました。
そうした時代の雰囲気を受ける形で、「週末婚」という非常に先進的な価値観によるドラマが生まれたと言えます。
ドラマでは、平日は仕事をしながら自分の生活を楽しみつつ、週末には結婚相手である男性との夫婦生活をするという女性の姿をその悩みとともに描かれていました。
遠距離結婚のメリットとは
ドラマ「週末婚」が放映された直後には、同じように遠距離で同居をせずに結婚生活を送ることを希望するカップルが増加したといいます。
その背景にあるのが、結婚をすることにより男女とも自分の時間を大幅に奪われることになるという息苦しさです。
結婚をした当時は相手のことが大好きで片時も離れたくないと思っていても、それが長く続いてくると次第に悪い部分もよく見えるようになり、しだいに一緒の時間を疎ましく思うようになっていってしまうこともあります。
そうした近すぎる距離による不仲を避けるために、あらかじめ距離を置いて接することのできる週末婚・遠距離結婚は新しい結婚生活の形として広く受け入れられたかのように見えました。
ですが実際にそうした週末婚や遠距離結婚を選んだカップルの中には、そのメリットは十分に感じていつつも当時は予想していなかったデメリットを感じることで、再び結婚や同居について考えなおす人たちもいます。
従来型の結婚生活に対して息苦しさや生きづらさを感じる人がいることから生まれた週末婚や遠距離結婚ですが、それもまた全ての人にとって居心地の良い形ではないということも確かなようです。
遠距離結婚のデメリットと注意すべき点
遠距離結婚におけるデメリットとなるのは、まず物理的な距離が離れることによる気持ちのすれ違いです。
人はなんだかんだ言って遠くにいる人よりも、身近に毎日顔を合わせることができる人の方を信頼するものです。
二人の仲が順調なときはよいのですが、何かちょっとしたきっかけでケンカやすれ違いが起こってしまうと、その修復が完全にできないうちに物理的に距離ができてしまうのでそれがもとで決定的な溝が生まれてしまうこともあります。
一概には言えませんが、そうしたすれ違いや寂しさがあるとカップルの片方もしくは両方で浮気心がどうしても出てきてしまうものなので、そこから一気に結婚生活が破綻をしてしまったりします。
また遠距離結婚や週末婚では、お互いに世帯を構えることから生活費が二倍近くかかってしまうことにもなります。
本来結婚をするということは同居により経済的に安定するというメリットがあることでもあるので、それを得ることができないというのも大きなデメリットと言えます。